『ふつうの中学生』
そんな言葉がくっつくことを、彼自身はなんとも思っていないようだった。
むしろ、周囲の人間が彼を『特別』にしたがっていて。
「アイドルグループにいてもおかしくないよ」
「一度くらいオーディション受けてみたら?」
「戦隊モノでデビューとか、よくない?」
「こんな田舎じゃなきゃ、即スカウトされるのにね」
彼を取り囲んでは、好き勝手なことを言う。
「ムリに決まってる。それに、そういうの興味ないし」
それは、謙遜でもなんでもなくて。
彼は、誰もが振り返るような容姿であるにもかかわらず、目立つことが少々苦手な性格で。
「優心、こっち!ここ、来て」
「戸山くんがひとりで写ってるのも欲しいんだけど」
先週行った修学旅行では、行く先々で女の子たちから写真を求められていたけど。
その全てに応じてしまうほど、優しすぎる性格の持ち主でもあった。



