「優心から言ったんだって」
放課後。
忘れ物を取りに戻った教室の前で、わたしの足がぴたりと止まる。
クラスメイト数名の声が、廊下にまで漏れてきた。
「ちょっと可愛いからってさ」
「調子に乗ってんの」
「ムダに優しいとこも、計算だったりしてね」
あっという間だった。
わたしが彼の彼女になったということは、すぐに学校じゅうに広まってしまった。
覚悟していたものの、こうして直接耳に入ってくると、言葉のひとつひとつがズシリと重たく感じる。
教室に入ることも、立ち去ることもできなくて突っ立ったまま。
すると突然、右腕がグイッと勢いよく引っ張られた。
「………ぁ、」
力任せに体の向きを変えられたわたしの目の前には、クラスで一番の美少女が立っていた。
「聞いたでしょ?あれ、みんなが思ってることだから」
大きな瞳で睨みつけられると、頭の中が真っ白になる。
彼女も、彼のことが好き。
そのことは、わたしはもちろん。みんなも知っていることだ。



