好きと言えなくて

喫茶店に入ると私達は一番奥の席に座ってコーヒーを頼んだ。



「変わってないな。さっきすぐ分かったよ」

「係長こそ変わってないです…」


相変わらずカッコいい。



「いや、変わったよ。老けたし、今課長だし。あと、離婚したし…」



うそ…係長、離婚したの?


「そうなんですか、係長…?」

「ああ。それより、さっきから気になってたんだけど係長じゃなくて中城でいいよ。もう上司と部下じゃないんだし」


「え?はい…。な、中城…さん」



何だか慣れなくて緊張してしまう。恥ずかしくて顔が見れない。



「あのさ、ずっと気になってた事があるんだけど…」

「え?」

「7年前、俺が異動する前の日…あの時帰る前に岸村さん俺に何か言おうとしてやめたでしょ?様子変だったしずっと気になってた。あの後、岸村さん辞めちゃうし俺何かしたかなと思って…」




中城さんがあの時の事を気にしていたなんて。



今度こそ伝えなきゃ。



「私…かっ中城さんの事が…すっ、好きです」

「え?」

「7年前のあの時も言おうとしたけどやっぱり言えなくて…」

「そっか…。正直言うとさ、あの時俺も岸村さんの事が…好きだったんだ。あの時は言えなかったけど…」




え!?かっ、中城さんが私の事を…?うそ…




「俺の彼女になって下さい」




「…はい」





こんな奇跡がおこるなんて。この日私は大好きな人の彼女になりました。







【END】