そんなこんなで入学式が終わり、各自教室へ。
 「えっ!席って自由なんだ……」
 そう、席は自由で特に決まってないらしい。
 わたしは、なんとなく一番窓側の後ろの方に座った。
 う〜ん、こんないい席、わたしなんかが座っちゃっていいのかなぁ……。
 1人で考え込んでいると、隣から声がした気がした。
 「……ん?」
 声?
 「あ〜!やっと気づいた〜!ねえ、隣座ってもいい〜?」
 「っわ!……!」
 ビックリした……!考えてたら気づかなかったよ…!
 「えっと、わたしなんかの隣でいいなら、どうぞ…!」
 わたしが隣でいいなら。きっといやっ!って言うでしょ。
 「やった〜!じゃ、座るね〜。あ、僕は鈴野蒼!よろしくね〜。蒼って呼んで?」
 「わ、わたしは上井怜央。好きに呼んでいいよ。え、あ、蒼……?」
 名前呼びって意外と恥ずかしいかも。
 「ふふっ。じゃあ、怜央って呼び捨てでいい〜?」
 「いいよ」