絶望のち愛

私は、内堀先生めがけて、走った。
そして、ジャンプして飛び付いた。

「おっと。あぶね。」
バランスをくずして、倒れそうになったけど、先生は、私を受け止めてくれた。

「中村さん、ここ、病院だよ」
後ろから、加藤先生の声が聞こえる。

そんなことは、気にしていられない。

「内堀先生。見てくれた?私、走れるでしょ。」

「うんうん。見たよ。すごいね。もう、普通に走れるんだね。」

「先生に見てほしくて、頑張ったよ。先生に会いたくて、ちゃんとリハビリに通ったよ。」

「うんうん。」

「それなのに、ずっと会えなかった。悲しかった。でも、走れるようになったら、先生のところに走っていこうと思ったんだ。だから、頑張った。」

「うんうん」

「先生、大好き。ほんとに好きなの。先生がいてくれてよかった。」

「えっ?」

「先生がいなかったら、リハビリはしなかった。生きてたかもわかんない。でも、先生が頑張れっていってくれた、リハビリも散歩も付き合ってくれた。ほんとに、先生がいてくれてよかった。ほんとに、先生の子とが・・・」

「まてまて、ちょっと、ここは。」
ふと、回りを見渡すと、
加藤先生、他のリハビリの先生、患者さんがみんな注目していた。

「えっ。はずかしい・・・」