絶望のち愛

ギブスをはずしてからは、
車イスに移乗することが簡単になった。
まだ、折れた右足に体重をかけることは怖いけど、
軽くなった足は、扱いやすい。

リハビリでは、平行棒の中を、リハビリの先生に支えられて、少しずつ体重をかけて歩いていく。

「中村さんは、元々体幹がしっかりしてるから、足にしっかり体重が乗って無くても、安定感があるね。」
リハビリの先生が、いってくれる。


「それって、どっしりって感じってことですか?ひどい~」
そんな風にとらえてはいないけど、年の近いリハビリの先生ともなかよくなったので、軽口が聞けるようになっていた。

「そんなこと、言ってないでしょ。せっかく誉めてるのに~」

「へへへ。ありがとうございます。」

「おっ、仲良くなってるな~年も近いし、いいね~」
内堀先生がからかってくる。

「そんなんじゃないです。加藤先生が私のことどっしりしてるって言うんですよ。ひどくないですか?」

「中村さん、どっしりなんて言ってないじゃないですか。体幹がしっかりしてるって言っただけ。」

「中村さんは、どっしりじゃないよな~かわいい女の子だよ。ね~」
なんて、言いながら頭をポンポンしてくる。

「かわいいなんて・・・」
赤くなってうつむくしかない。
内堀先生は時々こういうことを言う。