弁護士は逃げる婚約者を離したくない

もうそろそろで時間が近づいてきている。

私は顔を出すと、
「宇大さん、もうそろそろ帰りますね」
と、プリンを食べ終わった宇大に声をかけた。

「待って」

「はい」

宇大に呼び止められたので返事をした。

「もう少しだけ、一緒におってくれへん?」

「えっ…じゃあ、あと30分だけですよ」

家に帰ってもやることは特にないし、別にいいか。

宇大をベッドのうえで横にならせると、彼の近くに腰を下ろした。

すぐに寝息が聞こえてきたので眠ったようである。

さて、私も私でお暇しますか…と思って腰をあげようとしたら、
「んっ?」

何かに引っ張られたので見てみると、宇大の手が私のセーターをつかんでいた。

「ま、マジですか…」

どんだけ離れたくないんだよ、おい。