「弁明って何だ、弁明って」

私は最初から知っていたぞ、おい。

「あ、婚約破棄の話をしていない…」

もう1度婚約破棄の話を持ちかけて返事をもらうはずだったのに、すっかり忘れてしまっていた。

いや、もうする必要があるのか?

「そもそも、つきあっている人がいる時点で私と婚約破棄をするべきだろ…」

何で婚約破棄をしないのか、全くと言っていいほどに訳がわからない。

「あっ」

メンダコのぬいぐるみとイルカのキーホルダーが視界に入った。

宇大に買ってもらったそれらをどうしようかと思ったけれど、特に罪はないので考えるのをやめた。

「…もうわかった、のかな?」

婚約破棄をしたがっている理由は、もうわかったかも知れない。

わかって欲しいと思いながら、私は家路へと急いだ。