ー色々なヒトー
レベル1
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「今日も頑張ろっ!」
仕事をするため、いつも通りの時間にバスに乗った。
珍しく今日は空いている。
私がいつも乗るバスは、いろんな人が乗ってくるので座るだけでも一苦労。
「へぇ、今日はそんなに居ないんだ…ラッキー♪」
今日は外でも眺めてゆっくりしよ。
……。
真っ暗だ。そんなに眺めてても意味はなかった。
しばらくすると、あるバス停でみんな乗って来てしまったみたいだ。
「はぁ…なんだ、来るんじゃん。」
ふと時計を見ると、ちょうど12時だった。
いつもより一本早く乗ってしまっていたことに気がつく。
「そういうことね。…あ、そうだ…音読しないと。」
鞄から薄っぺらい紙を取り出して、声に出しながら読んでみる。
運転手さんはもう寝てしまっているので大声を出したって問題ない。
私の声だけが大きく響きわたる。
少しずつ車内が空いてきた。
ーーーー解説ーーーー
運転手が寝ているなら、バスが動くことはないはず。
そして、バスにたくさん人が乗っているなら声は大きく響き渡ることはない。
主人公にはなにかが見えているようです。
『私』が“色んなヒトが乗っている”と言っているところ乗ってくるのは“人間”ではないことがわかります。
私の仕事はきっと除霊師、薄っぺらい紙はきっと除霊のための何かでしょう…
