「実叶!!!明人くんが来たわよ!」
朝、1回からお母さんの声が聞こえてきて、わかった!!!と返事をし階段を降りる。
今日から中学校生活が始まるということでドキドキしながら、行ってきます!といい、ドアをあける。目の前には
「おはよう。実叶。」
いつもどうり無愛想な顔で突っ立っている幼なじみがいた。
「おはよ!明人!」
頷いた明人と一緒に歩き始める。
いつも話すのは私で明人は物静かに横を歩いている。そんな彼に私は片思いをしている。
「クラス同じになるといいね!」
「フラグだったね、実叶。」
1組と5組という離れ具合。
「階さえ違うじゃん!?」
明人がいないのは心細いと思いつつクラスへ向かう。ある男子のところだけ人が集まっていた。
(げ、私の横の席の人のところじゃん)
すこし、居づらないなと思いつつも席に座ると、横の男の子に話しかけられた。
「やほ!俺和田彰太!!!」
すごいテンションの高さに驚きつつもよろしく、と返す。この人が横なのは疲れそうだな。
予鈴がなりみんなが席に着く。先生の紹介と学年で集まって校長の話を聞き、あっという間に午前中が過ぎ、下校になった。
「ね!!!えっとぉ、花沢さん!」
和田に話しかけられ花沢は教室のドアの前で止まった。
「なに?」
「方面どっち?」
南校門から駅方面だけど、と軽く返すと
「俺一緒に帰っていい?」
と明るく聞かれた。
(あ、でも明人がいる)
少し困っていると、
「誰が花沢と帰るって?」
明人が目の前に立っていた。
「えっと、花沢さんこの人誰?」
あきらかに不機嫌そうに和田をみる明人。
「源明人っていう私の幼なじみ。」
「僕が花沢と帰るんだけど。邪魔者?」
こんな感じでかなり毒舌でズバズバ言う明人に対して和田はニコニコしながら俺も一緒に帰りたいだけ!と返すのをみて明人は嫌そうな顔をした。
「明人、いいよね?」
うん。と渋々明人を説得して3人で帰ることに。和田は明るくて会話が弾んだ。明人はあきらかに冷たく反応しても和田はニコニコと続けた。
終始明人は冷たかったが。
「あのさ!実叶ちゃん!」
明人は実叶…ちゃん?と、眉をひそめたが和田は気にせず、
「連絡先教えてよ!あと俺のことは彰太って呼んで!」
と、携帯を差し出してきた。
連絡先を交換し、和田と別れる際
「明日一緒に行けたら行こうね!」
と、言われた時明人は
「嫌だ。」
と、ボソッと行っていた。
あきらかに明人とは正反対のタイプ。明人が疲れちゃうのかな?と花沢は心配していた。次の日の朝。
いつもどうり朝明人と行っていると、
「あ!実叶ちゃん!!!!」
と、遠くから彰太がこっちに来た。
「明人くんもおはよ!」
どーも、と明人はそっぽむいて返した。
こんな状態が1週間続いたある日。
「2人って付き合ってるの?」
と、彰太に唐突に聞かれた。
「え!?そんなことないよ!?」
と、いいつつ明人の方を見ると明人は何も答えず、ぷいっと違う方を見てた。
(怒ってるのかな?)
と、不安に花沢がなる中彰太は続けた。
「そっかー!仲良いから付き合ってるのかと思ってた!ちなみに、好きな子とかいる?」
いるよ、と返した時明人が少し反応したのに花沢は気づかない。
「じゃぁさ、俺花沢さんのこと
好きになってもいい?てか、好きになっちゃった。」
と、軽く言われ、戸惑っていると
「まって、実叶。」
と、明人がそういうと彰太を睨みつけ
「お前みたいなチャラいやつに
実叶は似合わない。」
2人が揉めあっている時に影から誰か見てるいることに3人は気づいてなかった。
「あ、花沢さん?誰か花沢さんのこと呼んでるよ?」
明人?と思いつついくと緩いパーマをあてた女の子たちがいた。
階段の方につれていかれ、言われた言葉。
「あんた、調子乗ってるでしょ?」
すぐに察した。これは恋愛漫画によくあるやつだ。ということ。そして、非常にまずい状態。
「あんた彰太くんの何よ。」
何と言われましても、と言葉を濁すと思いっきり突き飛ばされた。
「彰太くんにかかわるな、このクソ女。」
と、吐き捨てられ悪口を、淡々と綺麗にリップで赤く塗られた唇達がペラペラと喋り連ねる。助けて、明人と思った時。
「うわ、なになに?何中?」
聞き馴染みのない中低音の優しい声。
「あ、高根先輩。」
そう呼ばれた男の人はやほ、と手を振った。
「で、どういう状態?いじめ?」
そうきかれ女の子たちは口ごもる。
「とりあえずどっかいったいった。」
と、急かされ女子たちは急いで立ち去った。
「大丈夫?」
背をかがめ私の方を見つめてくる。
「はい。大丈夫です。ありがとうございます。」
お礼なんていいよ、と笑顔で先輩が返してきた。そして、急にすごい顔を近づけてきてきた。
「えっと、あの?」
「君さ可愛いじゃん。」
(は?)
急に何をと思った瞬間。
「君に興味があるんだよね、君は5組の子?」
「そうですけど。」
と、言った時おい!と声が聞こえてきた。
「誰先輩か知りませんけど実叶に何してるんですか?」
明人がいつの間にか睨みつけるように先輩をみていた。
「彼氏さん?嫉妬してるのかな?」
おちょくるように先輩が言うと明人は花沢から先輩を離そうと手を伸ばした時。
「あ、ダメ!実叶は今俺と話しとる。」
と、いいにやっとして後ろから捕まえてきた。硬直して動かない私に変わり明人が
先輩から私を引き剥がして後ろに隠した。
「あーあ。実叶ちゃん?またね!」
(いや来ないで)
と、心の中で思いつつ明人の顔を見ると
すごく真顔だった。急に花沢の方に振り返り
「教室戻ろうか。」
と、いい頭をよしよししてさっていった。
「あれ?明人くん?」
いつも花沢の隣にいる明人が校門の前に突っ立っていた。
「実叶ちゃん待ってるの?」
和田がきくとノーコメントでと冷たく返されたが和田は続けた。
「俺も待ってる!!!」
明人がわかりやすくため息をついた。
「お前が実叶に近づくと厄介。
ファンの子達が僕のクラスで実叶が翔太に色目使ってるってうざいって話聞いたんだけど。はっきり言うと迷惑。ウザイ。」
でもさぁ、と呑気に和田は言う。
「俺的に明人くん恋人でもないのにさ、
実叶ちゃんのことに関わりすぎてない?
恋人もそれじゃ実叶ちゃんにできないし
明人くんのが一緒にいて迷惑じゃない?」
明人は初めてそこで和田をみた。冷えきっためで見たのに関わらずニコニコしながら和田が続けた。
「明人くん俺からしたら正々堂々くるならいいんだけど幼なじみって立場利用しすぎじゃない?そんなの実叶ちゃんにとっては迷惑だし嫌われちゃうよ?」
和田の言うことに少しは納得したのか何も明人が言い返さず沈黙が流れる。
「ごめん!明人先生の話が長くて。」
「ごめん、俺親が買い物にいけって言うから違う道で帰るね。 」
と、行って反対方向に歩き出す。
「え、でも、こっちのスーパーでもいいじゃん?」
ダメなの、セールはこっちだから、といって離れていった。
「実叶ちゃんじゃぁ、一緒に俺と帰ろっか!」
和田に言われ仕方なく明人から視線を外し歩き始めた。和田が話している内容が上手く花沢の頭には入ってこなかった。
(明人なんか怒ってた)
そればっかり花沢は考えて、もんもんとしていた。
次の日の朝。明人は来なかった。連絡してたら
『用事があるから』
と、1文だけ送られてきた。
「あ!そういえば実叶ちゃん昨日の先生の呼び出しは何だったの?」
和田が明るく話しかけてくれるから花沢も少し気が紛れる。
「昨日は入部届けの紙ですこし間違えがあってそれを訂正してね、って言われて。」
「部活?何はいるの?」
美術部ですと答えると絵が好きなの?と聞かれ会話が、自然に広がっていく。楽だけどでも、寂しい。
「和田く、、、あ、彰太くんはその。
なんの部活にはいるの?」
うーん、と考え込んでへらっと笑いながら決めてないや!と和田がいい、花沢は苦笑する。
「俺も美術部入ろ!」
と、元気に言い、実叶ちゃんと一緒の部活がいい!と照れくさそうに言ってきて不覚にもキュンとし花沢はした。
「明人は何に入るのかな…。」
昨日から話してないからなにも聞けていない。前、サッカー部に入ろうかなとか言っていたから運動系なのかと花沢が1人で考えていると和田が心配そうに大丈夫?と見た目にそぐわない可愛い表情を見せてきた。
(それは、ずるい)
なんだかんだで学校に着いた。


