運ばれてきたビールで乾杯し、二人で一気に三分の二ほどを空ける。

私に負けず劣らずお酒はめっぽう強い彼女は、グラスをテーブルに置き一息つくと尋ねた。

「で、その後充さんとはどう?いつもさっさと一人で寝ちゃうって言ってたけれど」

「相変わらずよ。一人晩酌の日々だよ」

「瑞希、イケてるわぁ!」

「でしょ?」

なんだかわからないけれど、いつも底抜けに明るい彼女と話していると、今まで悩んでいたことが馬鹿らしくなってくる。

「でも、このままで大丈夫なのかな?」

「いいんじゃない?別に何も困らない。前にも言ったけれど誰と結婚したって最終的にはそんなものよ」

「そう?」

「結婚と恋愛は別物なんだって。恋愛の延長に結婚はあるけれど、その意味合いも関係性も全く非なるもの」

「そうは言うけどさ……」

なんとなく納得できない私は突き出しのレンコンをかじりながら頬杖をついた。

そんな私を見て、百合がプッと吹き出す。

「ほんと、瑞希はいくつになっても子どもみたいでかわいい」

「何言ってんだか」

半分あきれ顔で私も笑う。

「きっと充さんもそんな瑞希がかわいくてしょうがないはずよ」

「そんなの絶対ないって。放ったらかしなんだってば」

「だから言ってるじゃない、恋愛のそれと結婚のそれは全く違うって」

「私にはわからないな」

ビールを飲み干すと、これまでの積もり積もった充へのストレスと一緒に長いため息をついた。

「恋愛は求め合うものだけど、結婚は求めないの。っていうか求めちゃいけないんだわ。どっちかが求めるとうまくいかなくなるもの」

そう言われると、なんとなくわかったような気もする。

「もし、それでも求め合いたいと思うなら」

百合がそう言いかけた時、彼女のスマホが震えた。