けれど。 先輩は見ず知らずの一年に声をかけてくれて。 自分は遅刻してでもあたしを教室まで導いてくれた。 また、会いたい。 「ほら、ここ。じゃ、授業、頑張って」 「はい! あの……」 「名前、教えてくれませんか?」 「コウタ」 「へ?」 ――相沢、洸太。 それが、きっと恋に落ちた瞬間。 だって、それからというもの、学校に行くのが楽しくてしかたがない。 先輩に会えるから。 つまり、あたしの学生生活の八割は「先輩」なのだ。