振り回されて先輩♡



 放課後。

 あたしは先輩のいる教室に向かっていた。

 いつもならもっと早く先輩の顔を見に行っているんだけれど、今日は日直だったせいで、遅くなってしまった。

 先輩、帰っちゃったかな……。

 教室をのぞくと。

「あ、いた♪」

 まだ、先輩は残っていた。

 けれど。

 その周囲には女子生徒たちが。

 なにやら、あたしは教室に気軽に入れるような雰囲気ではなくて。


「で、実際、どうなんですか?」

「は?」

「好きな子とかいるんでしょ」

 どひー。

 単刀直入。

 でもこれは、先輩の答え、あたしも知りたい。

「いない」

 こちらも単刀直入だし。

「うそ」

「うそじゃない」

「じゃあ、あの一年の子はどうなの?」

「一年? ああ、西宮か」

 ドキリ。
 あたし、話題に上っているし。

「すごく、仲良くない?」

「ぜんぜん」

「でも、きっと彼女、相沢のこと、好きだよ」

「だったらどうした?」

「どうして付き合わないの?」

 先輩は大きくため息をついた。

「別に、いいじゃん、そんなこと。第一、俺、あいつのこと、ほんと、うざったいって思ってるから」


 ズキン。

 先輩から放たれたことばがあたしの胸をえぐった。