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「いってきまーす」


 あたしは、勢い良く玄関を開けて外へ。

 そこに待っているのは、忠犬ならぬ、あたしの後輩。


「先輩って、あいててて……」


 あたしは浅田の耳をきゅっと掴んだ。


「なにするんですかぁ」

「なにって、もう先輩って呼ぶのはやめてって話してるよね?」

「うわーん、ひどぃぃ」

「ひどくないでしょ。もう学校だって違うんだし」

「違くても、オレの先輩は先輩だけですから~」


 私服のときのかっこいいお前はどこいったんだ。


「ほら、行くよ、陽治!!」

「あっ」


 あたしが下の名前を呼ぶ。

 それだけで陽治はカーッと頬を真っ赤にした。