「お願い」


 うるうるキラキラの瞳で、じっと見つめられてしまって。


「うー、負けた! いいよ」

「ほんと~! やった!」


 あたしと試合して勝てたことないのに。
 彼のこういうとこに弱いせいか、つい甘やかしてしまった。


「じゃさ」

「ん?」

「今日、先輩と一緒帰っていい?」

「いーけど、方向どっち?」

「えへへ、先輩と同じほうだから。途中まででいいから、ね」


 そんなこんなで、ルンルンと浅田があたしの手を引っ張る。


「あ! こらっ」

「いーじゃん、いーじゃん。帰ろ?」


 そして、あたしはまた、彼を甘やかしてしまうのだった。