そんな私に、
「大丈夫よ、うらんちゃんなら、きっとできる!」
と、はつらつとした声が聞こえてきた。
母だ。
むかっとする。
なにが「できる!」だ。
もちろん私は何に今悩んでいるとかそんなこと言っていない。
母も聞く気はない。
ただいつも「できる!できる!」とはっぱをかけるだけだ。
いかにも、私を元気づけようとしていると思いきや、本当は、自分の事しか考えていない。
私は洗面所で入学式のために化粧している母の目を見つめた。自然と母も見つめ返してくる。
「できる、できる」
と笑顔で。
3、2、1、(私ってなんて子ども思いなのかしら、家族同士で醒めきっている家庭も多い中で、仕事でもないのにこんな言葉をかけてあげてあげられるなんて)
ほらね?