「ち、違います!それは絶対ありません!」
春多くんの腕をぐっと引き寄せた。
「た、確かに……、私はあなたの旦那さんと関係を持ってました。でも、お腹の子供は正真正銘、春多くんとの子供なんです。産婦人科の先生にも相談して、私の生理周期、排卵予定日からこの子との春多くんとの子供だって言われました!」
私の大きな声が響いて、部屋が静まりかえる。
「だから、ミチさんの旦那さんの子供の可能性はないんです」
「……そう。でも、あなたの顔なんてもう一生見たくもないわ。出ていってちょうだい」
嫌気がさすように吐き出された溜め息。冷たいトーンの声。そこには、優しくて穏やかな笑顔ミチさんはいない。
彼女が私の方へ目を向けることは無かった。
***
その後、彼女が私と直接やり取りしたくないとうことで、私だけがマンションの部屋へ戻る。
"今後、相手と一切接触しない"という接触禁止の誓約書にサインをして、その他の処理は春多くんを通す事となったのだ。
「結局、傷付けちゃった……」
余計な物はない生活感の無い部屋に、1人膝を抱えて座り込む。
春多くんが帰ってきたのはそれから1時間後だった。



