「えーと……」


黒の短髪とこの眼鏡。顔はなんとなく見たことあるんだけどなぁ。
言葉に詰まってると、男の子が静かに口を緩めた。



「ほら、この間 道端であなたが春多とイチャイチャしてた時に会った和泉でーす」

「あっ、春多くんの友達!」

外来(こんなところ)でどうしたんですか?」

「昼休みなんだよ。えっと、和泉くんは?」

「俺のターン今回皮膚科だから、午後休診で帰るとこなんです」

「そうなんだー……」


あれ?春多くんは今何科を回ってるんだろ?



「まさか、珠里さ……じゃなくて春多の彼女さんが妊娠してるとか聞いてなかったんだけど」

「……やっぱり、そっちにも広まってるの?まだ学生で、それに実習中なのに春多くん大丈夫なの?」

「まぁ、中には不快に思ってる職員はいるだろうけど。アイツは平気でしょ?コネっつーか、ほら、一応院長の孫……だしさ。その辺は安心していいと思いますよ」

「そっか、良かったー」


ホッと胸を撫で下ろすと同時に、春多くんのこと何にも知らないんだな。と、気持ちが少し沈む。



「いやー、でもさ。春多は肩書きいいからさー女は寄ってくるんだけどさ、彼女さんで安定するのかな」

「えっ、春多くんってモテるの?」