「……和泉(いずみ)こそ、せっかくの休み1人寂しくどうしたんだよ?」

「うわー、ひとこと多いだろ?そこの図書館行くんだよ!文句あっか?」


知らない男の人の声がしたと思ったら、春多くんがその人と会話を始めていくけど。

て、今、キスしようとしたよね?
心臓がどっどっと激しく鳴って、頬が熱いし絶対赤くなってる。



「てゆーか、その子。ま、まさか春多の新しい彼女?」

「うん、そうだよ。ねぇ、珠里さん」


へへっと笑う春多くんは、まるで別人みたいな爽やかな笑顔を見せて。私の頬に軽いキスを落とす。

この男、今、何した──?



「なっ、なにすんの……」

「マジかよ!?いつから?臨床実習(ポリクリ)からプレゼン終わったばっかじゃねーか!」

「羨ましいだろ?」

「しかも、年上だろ?お姉さんだろ?いつどこで出会えるんだよぉ。俺も彼女欲しい……」


頭が追い付かないけど。この短髪で眼鏡をかけてる男の人も、春多くんと同じ医学生なのかな。




「あ、俺、田中和泉(いずみ)。春多とは腐れ縁で小学部からずーっと一緒なんです。よろしくー」


唖然と2人のやり取りを見ていれば、和泉って子がニカッとスマイルを向けてきた。




「あの、私は…」
「鴨田珠里。俺の彼女、めっちゃ可愛いっしょ?」