「あ、このドレス可愛い!!モデルさんも綺麗だね」

「珠里さんの方が可愛いよ」

「………あ、ありがと…」


春多くんの言葉に、かぁっと頬に熱が上がったのが自分でも分かる。




「珠里さん、明日仕事休みだよな?」

「……うん、なんで?」

「今からしていい?無理させないから」


耳元で囁かれたのは、甘くて低くて私の大好きな声色。
もしかして、春多くんは私がこの声のトーンに弱いことに気が付いてるんじゃないかな。



「お風呂入ってないし駄目」

「じゃー、今から一緒に入ろ?お腹も他の全部すみずみまで洗ってやるよ」

「私、お腹減ったし。仕事から帰ってきたばっかりだし」

「お腹いっぱいになったらいいんだ?よし、夕飯食お?」


ニターっと意地悪な笑顔を見せた春多くんが、嬉しそうにリビングへと向かう。

春多くんはいつも優しくて私の体を気遣ってくれるけど。私だって春多くんとイチャイチャするの好きだし、シタいけど。


果たして明日は動けるだろうか。
疲労で起き上がれないかもしれない。

でも、春多くんのルンルンとしてる後ろ姿を見てると断る事も出来ないし。


この男に勝てる日はないのかもしれない──。





───式を挙げるか、挙げないか───