「……ケガしたの?」


後ろからふわっと石けんの優しい匂い。


パッと振り返ると、お風呂から出てきたばかりの未紘くんが。


「え、あっ、ごめんなさい。少しボーッとしてて。すぐに破片拾うので――」


「……そんなのあとでいーよ。それより湖依の手当てのほうが先でしょ」

「うわっ、きゃっ……」


「おいで。俺が手当てしてあげるから」


ひとりで歩けるのに、なんでかお姫様抱っこでソファのほうへ。


未紘くんが救急箱を持ってきてくれて、手際よく処置をしてくれてる。


「ご、ごめんなさい。未紘くんに手当てをさせてしまって」


「いーよ。俺いつも湖依にいろいろしてもらってるし」


仮にもわたしはメイドで雇われてる身なのに。


ご主人様で立場が上である未紘くんにこんなことさせてしまうなんて。