「未紘くんは将来お父様の会社を継ぐのが決まってる立場の人間ってわかってるのかしら。あなたみたいな財閥の令嬢でもない家柄の人は未紘くんにふさわしくないのよ」
今さらだけど、わたしと未紘くんでは住む世界が全然違うんだ。
最初からわかりきっていたのに、他人にはっきり言われると胸がちょっと痛い。
「身の程をわきまえたらいいのに」
「たしかに~。自分が釣り合ってないの自覚してないなんて可哀想ね」
何も返す言葉がなくて、ただうつむくことしかできない。
これ以上なにか言われて耐えられるかな。
グッと下唇を噛みしめた瞬間――。
「……俺の湖依に何か?」

