「ちょっ、待ってください……っ!」
わたしの返事なんてお構いなしで、いまわたしが着てるカーディガンを脱がそうとしてきてる。
「……無理。湖依から奏波の匂いするとか……嫉妬でおかしくなりそう」
さっき少しだけ天音くんと距離が近かったときに匂いが移ったのかな。
「そ、そんなに天音くんの匂いしますか?」
「……する。いつもの湖依の甘い匂いと違う」
未紘くん鼻がよすぎでは?
自分だとあんまりわからないものなのかな。
「……他の男の匂いなんかさせちゃダメ」
いま着てるカーディガンを脱がされて、代わりに未紘くんのカーディガンを着せられた。
せっかく未紘くんのために届けに来たのに、結局わたしが着ちゃった。