「あっ、このビルですね!」


「あぁ、すまないね。こんなところまで連れて来てもらって」


「いえいえ! 約束には間に合いそうですか?」



「お嬢さんのおかげでなんとか間に合いそうだよ。ありがとう、ここまで案内してくれて。いつかこのお礼はさせてもらうからね」


「お礼だなんてそんな! どうかお気になさらないでください……!」


「若いのにしっかりしてるね。それじゃ、お嬢さんも気をつけて帰ってね」

「はいっ」


すごくいい人だったなぁ。


それに、どことなく誰かに似てたような。

気のせい……かな。


はっ、こうしちゃいられない!


早く寮に帰らないと未紘くんが心配しちゃう。


夕方の6時までには帰るって約束してたけど、もうとっくに過ぎちゃってる。