僕たちは駅の前で別れ、僕は電車のホームへと向かった。

けれど、正直名残惜しかった。

黒田さんはあくまで、死者の心分析事務所という団体のうちの1人だ。

そして、亡くなった人の心を可視化し、遺言やメッセージを遺された人に伝えるのが仕事。

ただ、それだけ。

彼女の任務はここまで。

きっと、また別の人の前に現れて、亡くなった人の心を読むのだろう。

だから、もう用はない。

ないはずなのに。

また会えるような気がして、それに期待している自分がいる。


何故だろう。