ただ一方で、なんだか腑に落ちたような部分もあった。

母さんは、僕に自分の中高生の頃の話をしたがらなかった。

それに、父方の祖父母には小さい頃からよく会いに行っていたのに、母方の祖父母には一度も会ったことがなかった。

お母さんのお父さんとお母さんはもういないのよ、と言われて育ったので、もう亡くなったんだと思い込んでいた。

でも、話したくなかっただけかもしれない。

思い出したくもないような過去のせいかもしれない。

「お母様が亮くんにいちばん言いたかったメッセージ、聞きますか?」

ごくりと唾を飲み込む。

「……はい。お願いします」

黒田さんは、画面の再生ボタンのようなマークをタップし、母さんの額と、口元に手を当てる。