命がいくつあってもこの手のひらから、世界からこぼれ落ち、俺はそんな絶望から人を、家族を救うことすらままならない。 拳を握りしめた、指が小刻みに揺れる。 13歳の少年が失くしたものはあまりにも大きなものだった。 父親を母親を赤子の妹を目の前で惨殺されたのだ。 母親は見るも無惨な姿で服をビリビリに破られ何度も深くナイフで体を抉られている。 父親は首を掻き斬られ捨て置かれた状態。妹の心臓にはナイフが突き刺さったままだった。