馴染めないどころか、そもそも人に注目されることも苦手。

だから、このミスコンも予想外の他推のエントリーで戸惑った。


わたしがこの場に立っている理由を、素直にそう伝えた。



〈こんな、なんの取り柄もないわたしだけど…。このミスコンを通して、少しでも自信を持てるようになれたらいいな。わたしはそう思っています〉


マイクを通してそう締めくくると、なぜだか胸の中がスッキリしたような感覚がした。


そして、遠くにいる一之瀬くんと目が合う。

一之瀬くんは、優しく微笑んでうなずいてくれた。


だから、わたしも自然と笑みがこぼれたのだった。


他の出場者と違って、わたしの自己PRはわずか1分ほどで終わってしまった。


そうして、一次審査の採点に入る。



「…なにあれっ」


控え室に戻ってきたわたしを見て、由奈は鼻で笑った。