あの由奈のあとだから、わたしに対する期待のまなざしが痛いくらいに突き刺さる。


本当は、こんな状況…辞退してしまいたいくらいだけど――。

由奈との勝負を受けてしまったから。


なにがなんでも、負けるわけにはいかない。



〈それでは、向坂慈美さん。自己PRをどうぞ!〉


司会者のアナウンスで、視線が一斉にわたしに注がれる。


わたしはギュッとマイクを握りしめると、ゆっくりと口を開いた。


〈…ごめんなさい。わたしには、他のみなさんのように自慢できることがなにひとつありません〉


わたしがマイクを通してそう話すと、審査員や観客たちはポカンとした表情を浮かべた。


そんな顔をされて、当然だ。

じゃあ、なんのためにここに立っているのかという話になる。


〈それにわたしは、この学校にも未だに馴染めていません〉