「…あの、わたし……」

「もしかして…、辞退されるおつもりですか?」


その問いに、わたしはごくりとつばを呑んだ。



そして、待ちに待ったミスコン本選がスタート。


本選出場者たちが、次々とステージへ登場する。


ステージ慣れしているかのような、自信に満ち溢れた出場者たちの笑み。


…そんな中。

うつむき加減で、恥ずかしそうにステージに上る最後の出場者が――。


そう。

それは、わたしだった。


ステージ下にいる観客たちの後ろのほうに、驚いた顔でわたしを見つめる一之瀬くんの姿を見つけた。



ミスコンなんて、興味がなかった。

他推されたとしても、すぐに辞退するつもりでいた。


――だけど、状況が変わった。


わたしはこのミスコンで、なにがなんでも優勝しなくてはならなくなった。