「雪華っ」
突然、銀星が鋭い声を上げる。
神社の境内に緊迫した空気が張り詰めた。
「んっ、銀星! 霊気と妖気がするっ」
私も直感と肌にピリッピリッと感じるモノがあり。
「――っ!」
「いったい誰っ?」
緋勇くんが朱雀に变化する。
私は雪女の妖力の何もかも凍てつく冷氷気を解放して、銀星は眼鏡を胸元にしまうと獣耳と尻尾が現れた。
素早く銀星の神狐の炎が私達を加護してぐるりと囲う。
「誰だっ。葵、俺の後ろに隠れて」
「えっ? 緋勇。えっ、あの人も妖怪?」
わん太の後ろから凄まじい妖気を放つおじいさんらしき人影がついてくる。妖気がゆらめいて顔がはっきりしない。一見人間に見えるけど彼から漂う気配が人間とは違うって私達には分かる。
「銀星〜! 大変じゃっ。お主の父の銀翔はどこ行った? わしの孫娘がさらわれたんじゃぁぁ」
「八束じいちゃん?」
私もみんなも、一気に緊張が和らぐ。
わん太と来た妖怪は河童の総大将だった八束じいちゃんだった。今は息子さんが総大将で八束じいちゃんは隠居してる。
緋勇くんは背中に葵ちゃんを守るようにかくまってて私と銀星は一瞬戦う構えを取ったけど相手が河童の八束じいちゃんって分かって警戒を解いた。
「八束じいちゃん。父さんは母さんと一緒に町の警護に行ってます」
「なんじゃ銀翔もナナコも留守か。頼みの綱の銀翔が不在とは」
河童の八束じいちゃんは半べそをかいて膝から地面に崩れていく。
あっ、八束じいちゃんのいう銀翔は銀星パパでナナコは銀星ママのことね。
「雪華様。こちら河童のご隠居の八束様でござります」
わん太がえっへんといった感じで胸を張り私に報告をする。
「うんっ。わん太、私ね、八束じいちゃん知ってるよ」
「雪華も来ておったか」
「八束じいちゃんっ! 凪ちゃんが誘拐されたのっ?」
河童の凪ちゃんは優しくてお転婆で美人のお姉ちゃん。
毎年夏には私と銀星に泳ぎを教えてくれたり会えばいつでもいっぱい遊んでくれた。
大好きな凪ちゃんが拐われてしまったなんて信じられない。
「八束じい様。孫娘が拐われたってどういうことですか?」
「おぉ。緋勇もおったか。わしはどうしたらええんじゃあぁっ! 凪にもしもの事があったら」
私と銀星はうずくまる八束じいちゃんを抱き起こした。寄り添うように銀星と緋勇くんが両側から支える。
「八束じいちゃん。ねぇ、もしかして何か持ってる? 妖気以外に霊気を感じるんだけど」
「あぁ、これじゃ、凪をさらった奴からの手紙じゃよ」
みんなで覗き込むと和紙の便箋に墨でこう書かれていた。
――『河童の総大将の娘の凪を水虎の花嫁候補として頂いた。帰すつもりはない』――
「凪ちゃんを帰すつもりはないってそんな」
「八束じいちゃん、ちょっと貸して下さい」
銀星がクンクンと手紙を嗅いだ。
「ハーブ? 柑橘の香り。微かに醤油の匂い」
「ハーブに柑橘? それにお醤油って。――あっ!」
私はピンっときた。
顔を見合わせた銀星も思い当たったみたいだ。
小河童の居場所、分かったかもしれない!
突然、銀星が鋭い声を上げる。
神社の境内に緊迫した空気が張り詰めた。
「んっ、銀星! 霊気と妖気がするっ」
私も直感と肌にピリッピリッと感じるモノがあり。
「――っ!」
「いったい誰っ?」
緋勇くんが朱雀に变化する。
私は雪女の妖力の何もかも凍てつく冷氷気を解放して、銀星は眼鏡を胸元にしまうと獣耳と尻尾が現れた。
素早く銀星の神狐の炎が私達を加護してぐるりと囲う。
「誰だっ。葵、俺の後ろに隠れて」
「えっ? 緋勇。えっ、あの人も妖怪?」
わん太の後ろから凄まじい妖気を放つおじいさんらしき人影がついてくる。妖気がゆらめいて顔がはっきりしない。一見人間に見えるけど彼から漂う気配が人間とは違うって私達には分かる。
「銀星〜! 大変じゃっ。お主の父の銀翔はどこ行った? わしの孫娘がさらわれたんじゃぁぁ」
「八束じいちゃん?」
私もみんなも、一気に緊張が和らぐ。
わん太と来た妖怪は河童の総大将だった八束じいちゃんだった。今は息子さんが総大将で八束じいちゃんは隠居してる。
緋勇くんは背中に葵ちゃんを守るようにかくまってて私と銀星は一瞬戦う構えを取ったけど相手が河童の八束じいちゃんって分かって警戒を解いた。
「八束じいちゃん。父さんは母さんと一緒に町の警護に行ってます」
「なんじゃ銀翔もナナコも留守か。頼みの綱の銀翔が不在とは」
河童の八束じいちゃんは半べそをかいて膝から地面に崩れていく。
あっ、八束じいちゃんのいう銀翔は銀星パパでナナコは銀星ママのことね。
「雪華様。こちら河童のご隠居の八束様でござります」
わん太がえっへんといった感じで胸を張り私に報告をする。
「うんっ。わん太、私ね、八束じいちゃん知ってるよ」
「雪華も来ておったか」
「八束じいちゃんっ! 凪ちゃんが誘拐されたのっ?」
河童の凪ちゃんは優しくてお転婆で美人のお姉ちゃん。
毎年夏には私と銀星に泳ぎを教えてくれたり会えばいつでもいっぱい遊んでくれた。
大好きな凪ちゃんが拐われてしまったなんて信じられない。
「八束じい様。孫娘が拐われたってどういうことですか?」
「おぉ。緋勇もおったか。わしはどうしたらええんじゃあぁっ! 凪にもしもの事があったら」
私と銀星はうずくまる八束じいちゃんを抱き起こした。寄り添うように銀星と緋勇くんが両側から支える。
「八束じいちゃん。ねぇ、もしかして何か持ってる? 妖気以外に霊気を感じるんだけど」
「あぁ、これじゃ、凪をさらった奴からの手紙じゃよ」
みんなで覗き込むと和紙の便箋に墨でこう書かれていた。
――『河童の総大将の娘の凪を水虎の花嫁候補として頂いた。帰すつもりはない』――
「凪ちゃんを帰すつもりはないってそんな」
「八束じいちゃん、ちょっと貸して下さい」
銀星がクンクンと手紙を嗅いだ。
「ハーブ? 柑橘の香り。微かに醤油の匂い」
「ハーブに柑橘? それにお醤油って。――あっ!」
私はピンっときた。
顔を見合わせた銀星も思い当たったみたいだ。
小河童の居場所、分かったかもしれない!

