仮面王子とのメモワール



「……あ、そう」


未央もさすがにそれには引き下がるしかないようで、彼から視線を外した。


「えーっと……、とりあえず、もう予鈴鳴るよ……?」


不服そうな未央をさておき、この空気をなんとかしようと、私なりに話を逸らしてみる。


うわぁ、下手くそ。嘘くさい。

これなら、律紀の猫被りの方がまだマシだ。



「セーフッ!間に合った!」


そこに、英語の教科書を取りに行っていたシュウちゃんが戻って来た。


不穏な空気も打ち消す、その明るさ。


「シュウちゃん、ナイス」

「……ん?なんかあった?」


訳が分かってない様子のシュウちゃんだけれど、心からのお礼を伝えたい。


ナイスタイミングだよ、シュウちゃん。最高。