ショートボブの髪を耳にかけて、とびきりの愛想笑いで返した。


作り笑いなことは、きっと彼は気付いてる。


でも、無理。

今の私にはこれしかできない。


「おーい、あたしもいるんだけど?」

「あはは、わかってるよ。久しぶりだね、古河さん」


そんな私から意識をそらすかのように、未央が振り返って彼に声をかけた。


彼の視界から自分が外れたことに、そっと胸を撫で下ろす。



「んじゃ。みんな早川と仲良くしろよー」


担任のそんな呑気な言葉とともに、朝のHRは終了した。



「よー早川!お前いつ帰ってきたんだよ!」

「律紀くん久しぶり〜っ」


クラスメイトの一部と他クラスの生徒が、一気に彼の周りへと集まってくるのをどこか他人事のように眺める。



集まった彼らは全員、彼と同じ中学だった人たち。

……私と、同じ中学だった人たち。