そもそも、律紀の本性を知ったのは本当に偶然だった。




───中学2年生の始業式の日。


「唄〜。帰ろー」

「うんっ」

帰りのHRも終わって、幼なじみの未央と一緒に帰ろうとしていたときのこと。


「あ、定期教室に忘れた」

「えぇ〜何やってんの」


ふと鞄の中を見たとき、バス通学で使う定期券がないことに気がついた。



たぶん教室の机の中にでも置いてきちゃったんだろう。


新学期早々何やってるの、と未央に突っ込まれる始末。


「ごめん未央!先玄関行ってて」

「あはは、りょーかーい」


未央はケラケラ笑いながら玄関へ続く階段を降りて行く。


逆に私は、教室に戻るために階段を駆け上った。