いつもは置く場所を気にして丁寧に置くカバンも今日はそんなこと気にしていられず勢いよくカバンを置いた。

椅子に座り、おばさんから受け取った手紙を見つめる。

あんなに早く読みたかったのに、封筒を開ける手が止まる。

これを読むと翔太がいないことが突きつけられそうで。

翔太とはもう会えないと言われそうで。

怖くて、怖くて。

手が動かなかった。

翔太が最後に私に何を伝えようとしていたのか。

翔太は何を思っていたのか。

そして、今まで翔太に対して抱いてきた疑問の数々。

それらの答えが今わかろうとしている。

喜ばしいことのはず。

だけど、今の私にはそれすら怖かった。

だって、その答えがわかってしまったら翔太との繋がりが消えてしまいそうで。

手紙を読めば答えが全てわかるかもしれない。

本音を言ってしまえば、私はそんな答え合わせは嫌だった。

今後翔太と過ごす時間の中で翔太の発言や仕草、態度から正解をみつけたかった。

それはもう叶わない。

だからこそ、翔太が伝えられなかった思いを受け取らなきゃいけない。

違う。

受け取らなきゃいけないんじゃない。

私の選択肢の中に受け取らないって選択肢がないだけ。

受け取りたい。

そう私が強く思っているから。

だから、翔太の手紙を最後まで読んであげたい。

でも、今の私には翔太からの手紙を最後まで読み切る自信がなかった。

だけど、翔太が伝えたかった思いを知りたくて、翔太の思いを見て見ぬ振りなんか出来なくて、再び封筒に手を伸ばした。