翔太の家へ向かった。

とは言っても家が隣だから自宅へ向かって歩いているようなものだけど。

翔太と一緒に歩いた道を辿り、翔太の家に着いた。

インターホンを鳴らすとおばさんが出てきた。

「あら、楓ちゃん」

「こんにちは」

「どうしたの?
 あっ、立ち話もあれだしあがって」

「いえいえ、すぐに終わるので」

「そう?」

「はい
 これを渡しに来ました
 担任の先生から預かりました
 翔太の卒業証書です」

「あら、わざわざありがとね」

「いえいえ
 では、失礼します」

「あっ、楓ちゃん待って」

「はい?
 どうかしましたか?」

「翔太の部屋を掃除してたら3通の手紙が出
 てきてね」

「はい」

「それで、1通目が私たち、両親へ向けた物
 で、2通目が隼翔宛て、3通目が楓ちゃん
 宛てだったの」

「え?」

いつのまに…?

そんなの知らなかった。

「だから、これよかったら受け取ってくれな
 いかしら?」

「はい、受け取らせていただきます」

「ありがとう
 じゃあ、気をつけて帰ってね」

「はい、ありがとうございました
 お邪魔しました」

そう告げて翔太の家を去る。

翔太からの手紙?

どんな内容なのか想像もつかない。

早く読みたくて、早く翔太に触れたくて。

急いで家に戻り、お母さんにただいまも言わずに部屋へ向かった。