「こうしたい気分だったから」

「やめなさいよっ!こら、放せ!」



「やだ」


真っ赤な顔で目を逸らしていた理由を聞きたいのにこんなことをされてはそれどころではなくなってしまった。



「っ……」

「希穂ちゃん顔真っ赤」

ようやく体を解放されたときには、内田は元通りに戻っていた。



「うっさい!」



「希穂ちゃん」

「……」

「俺はさ、回りがどんな風に思おうと希穂ちゃんのことが好きだし、一緒にいたいんだ。
だから、回りのことなんて気にしなくていいよ」


まっすぐに伝えられた言葉に体温がブワッと上がった気がした。



「っ……もう帰る」

「俺も」

「ついてくんな」


「え~方向一緒だしいいじゃん」


早鐘をうつ心臓を知らないふりしながらいつもより早足で帰った。