まだ高校生だった。

お互い恋人もできる見込みも無いまま、このまま

卒業を迎えようとした時、俺から誘った。

周りもしてるし、経験くらいあった方が。

なんて強引に理由をつけて、なんならこのまま

流れで付き合えたりするんじゃないか、なんて

意地汚い本心を隠して。

幼馴染みの花乃は、案外あっさり承諾した。

向こうも初めてだったと言うのに。

だから、少し早とちりをしてしまったのかも

しれない。

彼女も自分と同じように想ってくれているんじゃ

ないかと。

俺の肩を抱きながら、何度も名前を呼んでくれた

彼女の姿は、これから先、俺以外の誰かが

見るのだろう。

誘いを承諾してくれた時と同じようなノリで

あっさりと交際を断られた日の朝、そう悟った。