家を出る前はこんな寒気はなかった。
しかし、車で3時間ほどかかるこの村に近づくにつれて、寒気が強くなってきたのだ。二人に変な様子はないので、私だけが感じているようだ。
体調が悪いという訳では無い。私はこの気味の悪い寒気に嫌気がさし始めていた。
「そう言えば、達也は?」
達也は彪馬の友人で本名は還郷 達也(かんごうたつや)
還郷とは今日初めて会った。第一印象は珍しい苗字。
まぁ、私の苗字も郷土(きょうど)だから珍しいのだけれど。

確かに達也の姿がない。
「あれ?さっきまで一緒にいたと思うんだけど」
「まぁいつもの事だ、さすがB型って感じ」
「達也はいつも自分勝手だからな。 だが慶、血液型と性格は関係ないぞ」
「え、そうなの。 B型って変なやつ多いじゃん。 彪馬も彪馬でA型で色々細かいしさ」
「…」
血液型の話になると、私はいつも居心地が悪くなる。
私もB型だ。血液型と性格が関係ないのは分かっているが、どうにもB型にはいいイメージがない。
『B型っぽいなー』『さすがB型って感じ』なんて、B型と言うだけで、嫌な思いをすることは沢山あった。
ちなみに、慶も良くいじってくる。まぁもう慣れっこなんだけど、いい気持ちはしない。
そんなことを考えていると後ろから声が聞こえた。