「ありがとう」と、小さく笑ってお礼を言うも、まだ自信を持たずにいた。
思えば、幼い頃から私は自己肯定感が低かった。
物心ついた時から家では毎日1人で過ごしていたし、話す相手もいなくて、いつもぼんやりしていることがほとんどだった。
時々、玲太くんが遊びに来て、しつこいくらい構ってくれたこともあったけども。
「……あっ、そういえば…」
小学生の頃、玲太くんに言われた言葉が頭に過ぎる。
玲太くんと一緒にお留守番をしていて、暇だからDVDでも見ることになり、ジャンルは恋愛ものだった。
最後にヒーローとヒロインが結婚式でキスをする場面の時、私が『めいもウエディングドレスきてみたいなぁ…』とうっとり見惚れながら声に出すと、それを聞いた玲太くんは鼻で笑い、『おまえみたいなブスがきれるわけねーだろ』と私の憧れを、夢をぶち壊したのだ。
すごく懐かしい。
結構ショックだったから、しっかりと記憶に残っている。
自分のことを卑下するようになったのは、たぶん、玲太くんの言葉がきっかけだったんだと思う。
そのことについて話し終えると、瑠璃ちゃんと杏子ちゃんは、眉に深い皺を寄せながら、「……あの野郎」「クソガキじゃん…」と口々に文句をこぼしていた。



