もう少し、先輩と話したかった…というのが本音だ。
さっきの先輩の様子も気になるし、喉の辺りに何かが引っかかっているような感覚がして、スッキリしない。
「真ちゃん先輩、何か言いかけていたのに。邪魔しないでよ……」
顔を顰める私を見て、玲太くんは、フンッと息をついて、そっぽを向く。
反省の色も見えない彼に、怒りが込み上げそうになった。
「……はあ〜っ、そんな怒んなよ。大体、明日からあの先輩と会えなくなるからって、スマホあるんだし、連絡すればいつでも話せるだろ」
「……れん、らく……」
ふと、何か忘れていることに気づく。
スマホを取り出して、メッセージアプリを開いた。
友達リストには、真ちゃん先輩の名前はどこにも見当たらない。
───あれっ?ちょっと待って。
「そういえば私、真ちゃん先輩と連絡先交換してない…」
「……はあ?」
7月下旬。
とんでもないことを忘れていた私は、大きな後悔を胸に抱いて。
しばらく先輩に会えない、長い夏休みが始まる───。



