振り払おうとしたが、彼の力には勝てなくて、引きずられるようにして足を進める。
抵抗しても無駄だと理解した私は、慌てて先輩の方に振り向いて、「あ、あのっ…!」と精一杯の声で呼ぶ。
「せ、先輩っ、その、すみません!えっと、さようなら…!」
そう言うと、真ちゃん先輩は、困ったように眉を下げて、ゆるく手を振ってくれた。
「……うん。また、新学期でね」
参ったな、と言った先輩の笑顔が意味深長に感じ、何故だか心が不安に駆られる。
学校を出てからも、先輩の寂しそうな表情が強く目に焼き付いて頭から離れなかった。
「…っ、玲太くん。手、痛い…」
無理やり足を止めて、ひたすら前に突き進む玲太くんに声をかける。
すると、「ごめん」と言って、握られている部分が解放された。
「さっきの先輩に対する態度、どうかと思う。目上の人には、ちゃんと礼儀正しくしないとだめだよ」
「は?急に説教かよ」
「説教じゃなくて、常識的なことを言ってるの!」



