「ほんとごめんね、萩ちゃん。永遠、普段はあんな感じ悪いやつじゃないから、今日は何も見なかったことにしてくんない?」
「えっ?あっ、はい。……日山先輩、体調でも崩されたんですか?」
「ん?あぁ、普通に元気だと思うよ?でも、あいつ、最近好きな子できたみたいでさ。その女の子と両想いっちゃ両想いらしいんだけど、なんか色々苦労してるっぽい。それでイラついてんじゃない?」
「おれもあんまりよく知らんけど」と付け足して、肩をすぼめながら小さく笑う先輩。
絶大な人気を誇る、あの日山先輩がたった1人の女の子に振り回されている…ということだろうか。
あんな恐ろしい人が惚れるくらいの相手って、よっぽどすごい女性に違いない。
でも、この前、日山先輩と可愛らしい見た目をした2年の先輩が一緒にいる所を見かけたことがあるけど、あの人は好きな人でも何でもないのかな…。
じゃあね〜と、手を振ってくれる真ちゃん先輩は、日山先輩の後を小走りで追いかけて行った。
ふと、今朝に杏子ちゃんと学校に向かいながら話していたのを思い出す。
『日山先輩はかっこよくて、優しいんだよ!』と、目をキラキラさせて言っていた。
杏子ちゃんの言う通り、かっこいいとは思うけど、やっぱり、怖いと感じるのは、私だけなのかもしれない。



