4、5人くらいの女子が1人の男子生徒を囲んで、楽しそうに会話を繰り広げている。

じーっ…と、無意識に美人で綺麗なお姉さま方の集団を眺めながら横を通り過ぎようとしたら───…。


「!?」


なんと、お姉さま方に囲まれて笑顔で接している男の人は───…紛れもなく、あの初恋の王子様だったのだ。


「芽依〜どした〜?」

「置いてくよーん」


歩くスピードを落とすと、2人が不思議そうな顔でこちらに振り返る。


「…ごめん、その……さ、先に行ってて!」

「「へっ…??」」

「えっと……あっ、そうそう!お手洗い!お手洗い行ってくる!!」


女子トイレの扉に向かって指を指すと、瑠璃ちゃんたちは「うぃ〜」「OK〜」と了承し、教室へと歩いて行った。

2人を見送った後、私はささっと壁に隠れて彼らの様子を窺う。


「ね〜シンシン。今日の放課後どっか寄り道しよ〜?」

「えー、やだ。きょうかちゃん彼氏いるじゃん」

「にゃははっ、振られてやんの。んじゃ、シンシン!あたしと遊ぼ!ね、いいでしょ?」

「いいけどさ〜、なおこちゃんこの前彼氏できたって言ってなかった?おれを浮気相手にしないでほしいな〜」