あなたの笑顔が好きだから。


杏子ちゃんたちが言ってくれた通り、私は寒がりだ。

汗はそこまでかかない方だから、夏は嫌いでも何でもないが、冬は特に苦手だ。

冬の時期は、マフラーや膝掛けなどを体に巻きつけていないと過ごせないくらいで、更にはその寒がりという体質のせいで、夏場はまさかのクーラー直撃という地獄を味わってしまう羽目になった。

運動部の男子たちが温度を低く設定するから、授業中は、本当に凍えるかと思う程だ。


『正直、ベストでも寒くて、ちょっと困ってます…』


そう言うと、先輩は『ふーん』と考える素振りをする。

数秒ほどして、良い名案がひらめいたのか、パッと顔色を明るくさせた。


『そんじゃあ、おれのセーター貸そっか?』

『へっ?』


返事をする間もなく、真ちゃん先輩は、一旦自分のクラスに戻って、再度食堂へとやって来る。

その後『はい、どーぞ!』と、笑顔でセーターを私の方に差し出した。

申し訳ないので大丈夫です、と一度は遠慮したのだが、先輩はニコニコ笑っていて、どこか圧を感じたため、最終的に先輩の厚意に甘えて、セーターを借りることになった。