7月。

もうすぐ夏休みが近づいている、とある日のこと。


「真ちゃん先輩、セーターありがとうございました」

「どういたしまして〜。もう寒いの大丈夫なの?」

「はいっ!」


笑顔で頷いて、紙袋にセーターを入れた状態で先輩に渡した。


どうして先輩にセーターを借りていたのか。

それは、数日前に遡る───…。




ーーー
ーー



『やっほー萩ちゃん』

『あっ、こ、こんにちは…!』


いつも通り、杏子ちゃんと瑠璃ちゃんの3人揃って食堂で昼食を取っていたら、真ちゃん先輩が声をかけてきてくれた。


『…ってか、萩ちゃん、こんな真夏日にベスト!?暑くないの!?』


驚いた表情で言う先輩に、えへへ…と、苦笑いを浮かべる。


『この子、寒がりなんですよ〜』

『そうそう!この前、席替えしたんですけど、芽依ったらくじ運悪かったのか、クーラー直撃する席になっちゃって、授業中はいつもセーターかベスト着てるんです〜』


何故か私の代わりに笑顔で説明をしてくれる2人に、先輩は『そうなんだ〜』と相槌を打った。