何か気に障るようなことをしたのだろうか…と、ハラハラした気持ちになる。
そして、ふとある場所に視線を移す。
私は思わず「あっ」と声に出してしまう。
「真ちゃん先輩、耳が赤いです…」
「……」
返事が返ってこない。
先輩は頬杖をついたまま、顔を背けている。
中々、こちらを向いてくれない先輩に悲しくなってきて、「ごめんなさい」と謝った。
「あー…っ、いや、ちがう。萩ちゃんは何も悪くないよ」
少し戸惑ったような声がした。
「……先輩、こっち、見てほしいです…」
「やだ。おれ今かっこ悪い顔してるもん」
「…っ、真ちゃん先輩……」
『お願い…』
ぎゅっと彼の袖を握り、その言葉を込めて先輩の名前を呼ぶ。
「……」
振り向いた先輩の表情に、「えっ…」と驚きの声が漏れる。
「……だから言ったじゃん。かっこ悪いって」
恥じらいを見せながら目を伏せる先輩。
それに、耳だけでなく、頬も赤く染まっている。
「……っ、おれさ、萩ちゃんの言葉に毎回心臓を鷲掴まれたような気分になって、今すごく胸の辺りが痛い」
悔しそうにムッとする先輩は、胸元に手を押さえながらそう言った。
それに釣られて、私も顔を真っ赤にさせる。



