「まだ喫茶店にも行けてないしね〜」と、小さく笑う先輩に、胸の辺りがじんわりと熱くなっていく。
「…そんなことでいいんですか?」
「うん、いいよ」
「…っ、何でそんなに優しいんですか……」
「んえ〜?おれ優しくないけど?」
優しいよ。
今、私に微笑んでくれている表情も、眼差しも。
私を不良から助けてくれたあの日から、先輩は優しくて、とてもあったかい人なんだよ。
「杏子ちゃんたちから聞いたんです。私が保健室で寝込んでいた時に、真ちゃん先輩がずっと私の様子見てくれてたって…」
「……あっ、あぁ〜…。そう、なんだ〜」
「本当に、先輩には感謝してもしきれないくらいです…」
「ふーん、なんか恥ずいね〜」
「そう、ですか?私は、先輩にいっぱいお礼を言えて、自分の気持ちも伝えられるし…。それに、こうして先輩に会えることができるので、その…すごく嬉しい、です…」
高鳴っていく心臓と同時に、先輩の目を真っ直ぐ見つめて言うと、真ちゃん先輩は一瞬だけ瞠目させた後、「…そっか」と答えて、そのままそっぽを向いてしまった。



