「えっと、髪色は明るめで…」

「「うんうん」」

「ふわっとした猫っ毛で…」

「「うんうんうん!」」

「左耳に輪っかのピアスがついてて…」

「「…うーん……」」


2人は微妙な表情を浮かべ、曖昧な相槌を打った。


「…それだけ?」

「……うん」


瑠璃ちゃんたちは、お互い顔を見合わせた。


「特徴だけだと全くわからんわ」

「とりあえずSNSで芽依の王子様らしき人探してみますか〜」


現在、昼休み。

学食で昼食を終えた私たちは、教室に向かいながら私の初恋の相手について盛り上がっている最中だ。


やっぱり、特徴だけだとわかるわけないよね。

助けてもらったあの日に名前聞いておけばよかった…。

学校の制服を着ていたらすぐに特定できたんだろうけど、"恋愛で楽をしてはいけない"って、誰かが言っていた気がするから。

だから、自分の力で初恋の王子様を見つけるんだ…!!


杏子ちゃんと瑠璃ちゃんの会話を聞きつつ、心の中で意気込んでいた時───。



「きゃははっ、シンシンちょーウケる」

「それな〜」



…ん??


購買の出入り口付近で数人の女子生徒が屯っている姿が目に入った。