───キーンコーンカーンコーン。
タイミング悪く、午後の授業を告げる本鈴が鳴った。
…どうしよう、まだ先輩に何も伝えられていない。
放課後でもいいかと考えたけれど、果たして先輩に会えるかどうかもわからないし…。
「萩ちゃん」
「ひゃいっ…!?」
「今から授業サボんない?」
「へっ…?」
腕を掴む先輩の手に、力がこもった。
「おれ、まだ萩ちゃんと一緒にいたいんだけど…」
「!?」
先輩の発した言葉に、一瞬で顔が真っ赤になる。
そして、蚊の鳴くような声で、「私も、一緒にいたい、です…」と、本音を漏らしてしまう。
先輩は、安堵した表情で微笑みながら、
「ゼリー食べよ!」
私の手を引いて、歩き出した。
徐々に静まっていく廊下には、私と先輩の2人だけ。
悪いことをしているような気分になったが、先輩に掴まれた手をどうしても離したくない───そう思った。



